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翼状片は、結膜(白目)が角膜(黒目)に侵入する膜状の組織であり、多くは鼻側に発生します。
角膜側を頂点とした三角形なので、その形から翼状片という名前がつきました。
熱帯地域や海辺、また砂漠地帯に多く、紫外線が輪部幹細胞(結膜と角膜の境界に位置する母細胞)を長い時間をかけて傷害するために、その境界維持機能が破壊されて発生すると考えられています。
症状は、目の鼻側の結膜の充血、異物感、眼脂などで、ある程度角膜に侵入すれば角膜をゆがめて視力傷害を引き起こします。
放置すると角膜の中心まで侵入して高度の視力低下をおこします(図を参照。図は右目の翼状片の写真)。
鼻側だけでなく耳側から発生する場合もあります。進行は非常にゆっくりとしており、初期には緊急の治療は必要ないことが多いのですが、きわめてまれに上皮内悪性腫瘍との鑑別が必要になることがあります。
治療は、角膜への侵入が3 ミリメートル以下と小さければ、充血や異物感などの自覚症状の緩和を目的として点眼薬を使います。
ただし、自覚症状が強ければ手術も考慮されます。
3ミリメートルを超えて角膜に侵入した場合や視力障害があれば、適切な時期に手術をすることになります。
角膜の表面は本来、鏡のようにつるつるしていますが、手術は手作業で行うので、手術後に表面の小さなでこぼこや白い濁りが残ることがあります。
したがって手術時期が遅くなると、視力障害や美容上の問題が解決されないので、適切な手術時期を逸しないことが大切です。
手術は、視力障害、美容上の問題、頻回の充血などの炎症、コンタクトレンズ装用が困難な場合などに行います。
外来手術(術後の頻回通院が必要)~1週間程度の入院で行われるのが普通です。
翼状片手術の問題点は、術後の再発率が5~30%と一定していないことです。
50歳以下の若年者、手術を受けたがその後再び発生した場合(再発翼状片)や目の動きが制限されてものが2つに見えるような場合(瞼球癒着)、家族性翼状片などの場合に再発率が高いことがわかっています。
一方、高齢者の場合の再発率は低いのが普通です。
手術をするかどうかは、眼科専門医とよく相談して決めることが重要です。