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小中学生の視力低下の原因には色々ありますが、今回は、特に弱視についてお話しします。 弱視とは、字のごとく視力が弱いもので、どんなにめがねやコンタクトレンズで矯正しても、 視力が正常に達しないものをいいます。例えば、近視や遠視でめがねを掛けない時が0.1で、 めがねを掛ければ1.0になるようなものは弱視とはいいません。
この弱視は大きく分けると目の病気があって、医学的治療によっても、もはや改善の望みがなく、 社会的、教育的な立場からの指導を必要とする社会的・教育的弱視と、目にこれといった病気はないが、 機能的に発育が抑えられて視力がでない医学的弱視に分けられます。社会的・教育的弱視は矯正視力が 0.3未満なもので、弱視教育の対象となります。視力は、近くを見る視力より徐々に発達し、 8歳くらいまでにはほぼ完成しますが、生後の特定の期間(感受性期間)に適切な視覚刺激が 受けられないと弱視になります。
医学的弱視では、屈折性弱視、不同視性弱視、斜視弱視が主なものです。
屈折性弱視とは両眼ともに強い遠視、乱視、強い近視がありピントが合わないために、 ぼんやりした像で見ることに慣れ、めがねやコンタクトレンズを使っても視力がすぐに出ないものを いいます。この場合はまず、めがねを掛けさせ、網膜にはっきりした像を結ばせるようにすることにより、 視力は発達してきます。これをしないでいると大きくなってからでは視力は出ません。
不同視性弱視とは、片方の目に強い遠視、乱視、強い近視があってその目の像がぼやけるために、 この目をあまり使わず、良い方の目のみを使うために弱視となるものです。
斜視のように外観上に変化がないために、就学時や学校での検診で発見されるのが大部分です。 この弱視の治療はめがねを掛けさせ、遮閉法というよい方の目をふさぐ方法を行ったり、 目薬でぼやけさせたりして、弱視眼を使わせる視力増強訓練をします。この訓練は家庭で行うのが普通で、 家族が協力しそれを確実に行わせるようにすることが大切です。屈折性弱視と同様、これをしないでいると 大きくなってからでは視力は出ません。
斜視弱視は片眼の斜視で物が2つに見えるをさけるために、斜視眼を使わないようにするために 起こる弱視で、斜視眼では中心で物を見ることができず視力の発達が妨げられるものをいいます。
この弱視は、斜視を早くみつけ、良い方の目を隠す方法(健眼遮閉法)を行なって、 視力の改善をはかった後、斜視の治療をします。
このように、弱視は早いうちに発見し、適切な治療や訓練を受けることによって、視力の健全な発達が 可能となります。しかし、その改善の程度は個人差があります。大事なことは眼科医の指示に 従って正しい治療を確実に行うことです。そして、長い期間、治療を続けることもありますので、 家庭では家族が一致協力して子供を励ましていくことが必要ですし、学校では教師や級友の理解や援助も 必要となります。