文字サイズの変更
加齢黄斑変性 (AMD) は、近年増加している疾患で、日本では視覚障害者の原因疾患の第4位となっています。病名が示すとおり加齢が原因なので、年をとれば誰にでも起こりうる病気です。加齢以外の原因は明らかにされていませんが、喫煙は危険因子のひとつとされています。
眼の働きはよくカメラに例えられ、網膜はフィルムの役割をしているといえます (図1)。 AMDはその網膜の中心である黄斑部がいたむ病気であり、そのため、ものを見ようとしたときに中心部分が見にくくなります。「見たい部分がゆがむ」、「見たい部分が黒くなって見えない」などの症状が現れたら要注意です。これを簡単にチェックする方法として下の様な格子状の表 (図2) を片目ずつ見て、線がゆがんで見えないか、真ん中が暗く見えないかなどを確認します。
異常を感じたら、眼科を受診して、視力・眼底検査などを受けましょう。 AMDの疑いがあれば、さらに蛍光眼底造影検査まで必要となります。この検査で眼底に異常な血管 (新生血管)があると診断されれば、治療の適応となります。これまでは、新生血管が中心窩 (黄斑部の中心) にある場合は適切な治療法がありませんでしたが、ここ最近 AMDに対する新しい治療法が次々と開発されつつあります。その中のひとつである光線力学的療法は、特殊な薬剤を点滴注射した後に眼底の新生血管にレーザーを照射する治療法です。レーザーを照射した後一定期間日光を避ける必要があります。その後は3ヶ月ごとに検査を行い、必要に応じて光線力学的療法を追加します。さらに、抗血管内皮増殖因子 (VEGF) 抗体を硝子体に投与する方法があります。この薬剤を眼内に投与することにより新生血管の増殖や成長を抑制する治療法です。基本的に月1回の注射を3ヶ月間繰り返し、その後は経過をみながら追加します。
何と言っても大切なことは、早期にこの病気を発見するということです。新生血管が大きくなるほど治療は難しくなります。また、抗酸化ビタミンといわれるビタミンC、ビタミンE, ベータカロチンや、亜鉛などは病気の進行を遅らすといわれているので、これらを含む食物の摂取やサプリメントの服用も好ましいかもしれません。